ミニチュア・ダックスフンドの飼い方まとめ【ペットショップ店長が教えます】

ミニチュア・ダックスフンドといえば、胴長短足のフォルムに長い鼻が特徴です。
その姿はとても愛らしく、こっちに一生懸命歩いてくる姿は、見ているだけで笑顔になってしまいますよね。
しかし、もともと猟犬として使役されていたダックスフンドですので、しつけを失敗すると吠えグセがつきやすく、苦労される飼い主さんも多いです。
さらに、胴長短足の犬種に多い「椎間板ヘルニア」になってしまうと半身不随になってしまい、歩けなくなることもあります。
では、ミニチュア・ダックスフンドを飼う際には何に気を付ければいいのでしょうか?
本記事では、私がペットショップ店長の経験・視点から初めてダックスフンドを飼う際に、知っておいて欲しい知識などを解説していきます。
あなたが、ワンちゃんとの生活を充実に過ごせるために役立つものを厳選しましたので、ぜひ参考にしてください。
目次
1 ダックスフンドってどんな犬種?
2 ダックスフンドの特徴は?
2.1 もともと猟犬だった
2.2 意外に大きくなる
2.3 食欲旺盛な子が多い
3 ダックスフンドの性格は?
3.1 一途な子が多い
3.2 好奇心旺盛な子が多い
3.3 警戒心が強い子が多い
4 飼う上で気をつけることは?
4.1 吠えないしつけをする
4.2 肥満に気をつける
5 ダックスフンドのなりやすい病気は?
4.1 椎間板ヘルニア
4.2 外耳炎
4.3 進行性網膜萎縮症
6 まとめ
ダックスフンドってどんな犬種?

ダックスフンドの名前の由来ですが、ドイツ語でダックス(Dachs)=アナグマ、フンド(Hund)=犬、で”アナグマ犬”と言う意味です。
名前の通り、猟犬として繁殖されてきたのがダックスフンドなのです。
実は、ダックスフンドには3種類います。
- スタンダード・ダックスフンド(胸囲35cmを超える。)
- ミニチュア・ダックスフンド(生後15カ月を経過した時点で測定し胸囲30~35cm。)
- カニーンヘン・ダックスフンド(生後15カ月を経過した時点で測定し、胸囲30cm以下。)
さらにダックスフンドの中でも、毛質が3種類あります。
- スムースヘアー・・・短い毛
- ロングヘアー・・・長い毛
- ワイアーヘアー・・・クルクルで硬い毛
ちなみに、ペットショップに来るダックスフンドの約90%は、ミニチュア・ダックスフンドですね。
たまに、カニーンヘンが来ますが約10%ほどです。スタンダードに至っては、私もほとんど見たことがありません(笑)。
毛質はそれぞれ、ロングが約90%、スムースが約9%、ワイアーが約1%の割合でペットショップに来ます。
純血種の登録などを行っている、国際的愛犬団体ジャパンケネルクラブ(ちなみに、登録頭数は国内最多、世界第2位を誇る国際的なケネルクラブです。)の2019年(1月〜12月)犬種別犬籍登録頭数によると、ダックスフンドの登録頭数は、全134犬種中、26,281頭(カニーンヘン6,403・ミニチュア19,802・スタンダード76)で3位です。プードル、チワワには及びませんが、人気のある犬種です。
参考:2019年(1月〜12月)犬種別犬籍登録頭数|ダックスフンド | 一般社団法人 ジャパンケネルクラブ
ダックスフンドの特徴は?

足が短くてかわいいダックスフンドですが、ダックスフンドを飼う上で、知っておいて欲しい特徴を3つご紹介します。
ダックスフンドを検討されている方は、これを知らないとワンちゃんを飼った後に後悔することになるかもしれませんので、ぜひ参考にしてください。
- もともと猟犬だった
- 意外に大きくなる
- 食欲旺盛な子が多い
では、1つづつ解説して行きます。
もともと猟犬だった
ダックスフンドは、チワワなどの可愛がられるために作られた愛玩犬とは違い、狩猟犬です。
つまり、運動量は他犬種と比べてかなり多めです。
ですので、散歩に行きづらい環境や、散歩にはできるだけ行きたくない、と言う方にはあまりダックスフンドはオススメできません。
毎日とは言いませんが、1回30分程度の散歩を週に5〜6日行くことをオススメします。
もし、散歩に行けない場合は、家の中で十分遊ばせる必要があります。
逆に、散歩には毎日行きたい!、子供とたくさん遊ばせたい!、方には非常に向いています。
ワンちゃんも喜びながら、十分に運動量をまかなえるでしょう。
ダックスフンドは猟犬で運動量が多いことは、前提として頭に入れておいてください。
意外に大きくなる
ダックスフンドに限った話ではないですが、意外に大きくなる子は多いです。
ミニチュア・ダックスフンドの平均体重は5Kg前後(カニーンヘンは、3.5Kg前後/スタンダードは、9Kg前後)と言われていますが、思っていたより大きくなった・・・、と言う飼い主さんが多いです。
もちろん、小さいダックスフンドを飼っている方もいらっしゃいますが、私のお客様や飼い主さんにお話しを聞くと、約70%の方が想像より大きくなったと仰っています。
特にダックスフンドは胴長短足なので、なおさら大きく見えるのも要因の1つですね(笑)。
ミニチュア・ダックスフンドでは、およそ6Kg前後の子が多いように感じます。中には、8Kgを越える子もいました。
大きければダメと言うわけではないですが、ダックスフンドは小さくなる、と思って飼うと大きくなったときのギャップに驚くかもしれません。
もし、想像よりもワンちゃんが大きくなってしまった場合でも、環境は整えられるのか、最後まで飼育できるのか、を考えた上でダックスフンドをお迎えしてください。
食欲旺盛な子が多い
ダックスフンドは、食欲旺盛な子がとても多いです。
ダックスフンドで、ご飯を食べなくて困っている・・・、と言う飼い主さんはほとんど聞いたことがないです。
ペットショップでは、ご飯を食べない子に缶詰を混ぜたりするのですが、ダックスフンドに混ぜることはほとんどないです。
どちらかと言えば、すごい勢いでご飯を食べることが多いので、見ていて気持ちいいと思うことがよくありますね(笑)。
逆に、なんでも食べるということは思わぬ誤飲事故に繋がりやすいです。
床に子供のおもちゃや小さいゴミなどが落ちていると、なんでも飲み込んでしまいます。
ダックスフンドを飼う際は、誤飲事故が起きないよう十分に注意してください。
ダックスフンドの性格は?

ダックスフンドの性格やクセは、1頭1頭違います。
しかし、私はこれまで1,000頭以上のダックスフンドを見てきましたが、性格の傾向はありました。
ダックスフンドにある程度共通する、性格の傾向を3つご紹介します。
- 一途な子が多い
- 好奇心旺盛な子が多い
- 警戒心が強い子が多い
では、1つづつ解説していきます。
一途な子が多い
ダックスフンドには、一途な子が多いです。
ペットショップでもそうですが、お家にお迎えした子に多いです。
飼い主さんが家に帰ってきたら真っ直ぐに飼い主さんへ突進してくる子、常に飼い主さんの膝に乗ったり体を密着させてくる子、などのお話をよく聞きます。
もともと猟犬だったため、主人に対する忠誠心の名残りで一途な子が多いのだと思います。
ですので、ワンちゃんにずっと甘えていて欲しい方には相性がいいです。
しかし、甘やかし過ぎると忠誠心がなくなり、飼い主の言うことを聞かなくなるので要注意です。
好奇心旺盛な子が多い
ダックスフンドは、好奇心旺盛な子が多いです。
ペットショップでも、他のワンちゃんに自分から遊びに誘う子がとても多いです。
もともと猟犬だったので、何でも興味を持ちやすい性格をしていると考えられます。
ですので、ダックスフンドと遊ぶときは、知育おもちゃや隠したものを探し当てるゲームなど、本能を刺激する頭を使った遊びをしてあげるといいですよ。
ワンちゃんとたくさん遊びたい、お家を賑やかにしたい、方にはダックスフンドを飼うと楽しいでしょう。
警戒心が強い子が多い
警戒心が強い子もダックスフンドには多いです。
ペットショップにいるときは感じないのですが、お家にお迎えした子にはとても多いです。
私のお客様のダックスフンドちゃんが、お店に遊びに来てくれるのですがよく吠えられます(笑)。
もちろん、フレンドリーな子もいるのですが、飼い主さんや家族の方は大丈夫でも、他人や他犬には心を許さない子はよくいます。
ですので、忠誠心があるワンちゃんがいい、番犬としてワンちゃんが欲しい、方にはオススメです。
飼う上で気をつけることは?

胴長短足で、もともと猟犬のダックスフンドですが、飼う上で気をつけなければいけないことがあります。
このポイントがおろそかになってしまうと、後々取り返しがつかなくなってしまう場合があるので、必ず頭に入れておいてくださいね。
- 吠えないしつけをする
- 肥満に気をつける
では、それぞれ解説していきます。
吠えないしつけをする
ダックスフンドは、もともと猟犬なので警戒心が強く、吠える子がかなりいます。
ペットショップにいるときは、ほとんど気にならないですが、お家にお迎えした子で吠える子が圧倒的に多いですね。
特に多いのは、飼い主さんに何かして欲しい「欲求吠え」、敵や動くものに対して威嚇する「警戒吠え」、が見られます。
原因は、ワンちゃんが吠えているときに、吠えを助長する行動を飼い主さんがとっているケースが多いです。
例えば、ワンちゃんが吠えた際に、「ダメ!」「うるさい!」と声をかけたり、「どうしたの?」と言ってなでてしまったり、などです。
これでは、飼い主さんが反応してくれたと思い、さらに吠えが悪化してしまいます。
最も効果的なのは、「無視」をすることです。
しかし、無意識に反応してしまう飼い主さんは非常に多いです。
全ての犬種に言えることですが、吠えやすいダックスフンドは、特に気をつけてしつけをしてください。
「あのとき、やっておけば・・・」と後悔しないためにも、しつけは必須と言えるでしょう。
肥満に気をつける
ダックスフンドは、食欲旺盛がゆえに肥満になりやすいワンちゃんです。
お店にダックスフンドちゃんがよく遊びに来ますが、「痩せているなー」と思う子は少ないように感じます。
実際、「うちの子はちょっとおデブちゃんで(笑)」「うちの子は何でも食べるんです・・・」、という話しを聞くのもダックスフンドが圧倒的に多いです。
やはり、飼い主さんのお話を聞くとご飯、おやつのあげすぎがほとんどです。
人間の食べ物を積極的にあげている飼い主さんも中にはいらっしゃいました。
確かに、かわいいワンちゃんには何でもあげたくなりますが、肥満になることで起こるリスクを考えてあげてください。
例えば、椎間板ヘルニアの誘発(後述)、糖尿病、心臓病、呼吸器への負担、などを引き起こす可能性があります。
かわいがる気持ちはわかりますが、10年以上一緒に生活することを考えたとき、どちらの方が本当にワンちゃんをかわいがっているでしょうか?
飼い主さんによって価値観は違うので正解はないと思いますが、改めて考えた上で肥満に気をつけてください。
ダックスフンドのなりやすい病気は?

骨太で病気になりにくそうなダックスフンドですが、なりやすい病気がいくつかあります。
中でも気をつけて欲しい病気を3つご紹介します。
- 椎間板ヘルニア
- 外耳炎
- 食欲旺盛な子が多い
知識をあらかじめ知っておくことで、どんな状況でも冷静に対処することができます。
万が一に備えて、参考にしてくださいね。
椎間板ヘルニア
背骨を繋いでいる椎間板が、本来の位置からはみ出して脊髄を圧迫してしまう病気です。
胴長短足のシーズーやペキニーズなどの犬種にもよく見られます。
症状
初期段階では、抱っこを嫌がる、背中を丸めるなどが見られます。
悪化すると、ふらつく、立ち上がれない、おしっこやうんちが勝手に出てしまう症状が見られます。
予防
ソファーや階段の上り下りは極力避けてください。
床をワンちゃんが滑らない素材に変えるのも効果的です。
肥満も大きな要因ですので、体重管理は適切に行ってください。
ポイント
胴長短足の犬種は特に気をつけたい病気です。
無理な姿勢や肥満にならないことが、症状の悪化を予防できるので、子犬の頃から危険なクセを付けないことが重要です。
参考:椎間板ヘルニア <犬> | みんなのどうぶつ病気大百科
外耳炎
耳に汚れや、菌がたまり炎症を起こす耳の病気です。
トイプードルは、垂れ耳なので発症しやすい子が多いです。
症状
耳の中が赤くなる、耳を頻繁にかくようになる、耳の中の臭いが強くなる、などの症状があります。
重症化すると耳を触られるのを嫌がったり、膿が出てくることがあります。
予防
定期的に、耳掃除をしてあげてください。1〜2週間に1回程度を目安に行うといいです。
耳を清潔に保ってあげることが1番の予防です。
ポイント
外耳炎を予防するのには、耳掃除が効果的です。
しかし、耳掃除が上手くできない、怖くてできない方が多いように感じます。
ワンちゃんの健康を保つために耳掃除は必須です。
ご自身でできない方は、最寄りの動物病院に相談したり、YouTubeの動画を参考にしてみてください。
進行性網膜萎縮症
網膜が萎縮してしまい目が見えなくなる遺伝性の病気です。
ダックスフンドやトイプードルによく見られます。
症状
目が見えなくなるので、暗い場所を怖がったり、音に対して過剰に反応したりします。
徐々に視力を失い、最終的には失明します。
予防
症状を遅らせる対処療法はありますが、遺伝性の病気のため予防方法はありません。
ポイント
予防方法はありませんが、遺伝子検査で発症の可能性があるかどうかを調べることができます。
遺伝子検査をしているペットショップなどから、ワンちゃんをお迎えすることが1番の対策になります。
まとめ

いかがだったでしょうか?
以上がダックスフンドの飼い方まとめです。
ペットとして今も高い人気を誇るダックスフンドですが、もともとは猟犬です。
飼い方一つで、他人に迷惑をかけてしまうリスクもあります。
ダックスフンドの性格や特徴を飼い主がしっかりと理解して、ワンちゃんも人も気持ちよく過ごせるような環境を作ってくださいね。
あなたとワンちゃんが、家族として人生を歩んでいけることを心から願っています。